(体験記)コロナ感染で感じたこと、考えたこと

(体験記)コロナ感染で感じたこと、考えたこと

ここでは、実際に新型コロナウイルスに感染し療養した方の経験談をインタビュー形式で伺いました。

もし自分が感染したらどのような状況になるか、考えるための参考にしていただければ幸いです。

ご協力いただいた方のプライバシーに配慮し、一部内容は修正していますので、予めご了承ください。

また、インタビューの体験では、具体的な新型コロナウイルスの症状の話もありますが、感染した方の状況によって体に現れる症状は異なります。新型コロナウイルスに感染すると、必ずこのインタビューの方と同じ症状になる訳ではない点について、ご注意の上、お読みください。

また、これは2020年10月現在の状況であり、各自治体や、今後の状況では診察や治療の流れは変わる可能性が十分にありますので、ご了承ください。

もし、ご自身が新型コロナウイルスに感染しているかもしれないと心配になった場合は、最寄の自治体の保健所等にご相談ください。

 

■各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/pages/corona_news.html

また、コラム(コロナ禍で感じたこと)は、コチラから読むことができます。

 

 

目次

 ■体調の変化について
 ■感染の心当たり
 ■気持ちの変化
 ■コロナ陽性が分かるまでの流れ
 ■自宅待機中の過ごし方
 ■彼氏への影響(職場からの必要以上な詮索)
 ■ホテルでの過ごし方について
 ■ホテルを出るタイミング
 ■コロナに感染して感じたこと 
 ■医療従事者の方へのメッセージ

※(編)…編集部
※(A)…インタビューに応じてくださった方

 

■体調の変化について
(編)体調の変化について、今回の出来事を振り返ると、いつもの体調不良と同じでしたか?違いましたか?
(A)私の場合は、明らかに熱がありました。
(編)風邪やインフルとは違いましたか?
(A)それが、分からない。いつもの熱で、よくある熱でした。こんな時なので、危ないと思い、仕事を休もうと思いました。その時は、熱はそんなに高くなくて37度で微熱ぐらいでした。今振り返ると、その時が発症1日目で熱が37度くらいで、2日目に病院へ行った時が一番ピークで、38.6度でした。
(編)それでも、そこまで高熱ではないですね。
(A)そうなんです。恐ろしいことに、38.6度まで上がって、その翌日にPCR検査を受けるつもりだったのですが、紹介状の発行までに時間がかかり、PCR検査を受ける時は、36.5度くらいに下がってしまいました。
(編)熱が随分と下がりましたね。
(A)すぐに熱が下がってしまうこと、これが、今回コロナが収束しない理由の1つかもしれないです。
(編)そうなのですね。
(A)体もすぐに元気になるので、いつもの風邪と区別がつかない可能性もあると思います。
(編)クリニックへ行って、紹介状を発行してもらった後、PCR検査はどこで受けたのですか?
(A)自治体によっては、特設スポットが準備されています。自分がPCR検査を受けた自治体では、白いテントで検査を受けました。敷地内に防護服を着た人がいて、白いテントがあって、凄い異様な雰囲気に感じました。
(編)白いテントでは、どのように検査をしましたか?
(A)いわゆるインフルエンザと同じ、鼻に綿棒を突っ込む検査でした。ネット上で、インフルの検査より、何倍も痛いって脅し文句があったけど、自分の場合は全然痛くなかったです。
(編)そうなのですね。
(A)コロナのPCR検査が痛かったというようなことをネットに書き込むと、皆がPCR検査にハードルを感じると思ったので、それは良くないと思いました。
(編)分からないことは、すぐにネットで調べますからね。ところで、PCR検査を受けた時に熱は36.5度だったとのことですが、関節の痛みなどはありましたか?
(A)痛みは全然ありませんでした。実は、38.6度の時(クリニックに受診した時)もそこまで痛くなかったです。ただ、クリニックへ行った時は、体調が悪い中徒歩で病院へ行ったので、それで疲れて、体が痛くなったかもしれないです。

 

■感染の心当たり
(編)あとは、今回コロナが流行っているから検査を受けたと思うのですが、コロナが流行ってなければ、特に心当たりはなかったですか?
(A)コロナが流行ってなかったら、様子をみて、家で寝ていたと思います。次の日には熱が下がったかもしれないです。あとは、自分の仕事は接客業で、ここで誰かにうつしたらまずいと思っていたので、接客業をやっている責任だと思い、何事も検査を受けておこうと思いました。

 

■気持ちの変化
(編)実際にはそこまで体調が悪くなっていなかったということなので、物理的な状況の変化はあまりなかったかもしれないですが、心理面ではどのような変化がありましたか?
(A)気持ちはやっぱり、なんだろう、気持ちの変化が大きい気がします。
(編)具体的には、どのような変化がありましたか?
(A)自分には同居人というか、彼氏がいます。彼も職場にコロナの感染の疑いの可能性を申告する必要がありました。迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ないと思いました。ちなみに彼は、そのあと検査を受けて陰性でした。
(編)それは一安心でしたね。
(A)あんなに近くで一緒に過ごしていても、うつらないんだ、と思いました。
(編)いつもは寝る部屋は一緒ですか?
(A)はい。
(編)コロナの時も一緒の部屋で寝ていましたか?
(A)コロナの時は、症状が出てからは別々の部屋で過ごすようにしました。ちょうど一番体調が悪くて家で休んでいた日は、彼は勤務で家にいなかったので良かったです。
(編)今の話をお聞きしていると、自分のことよりも彼のことを心配しているように感じました。
(A)幸いコロナの症状が軽かったこともありますが、やはり自分の職場へ迷惑をかけてしまうことと、彼にコロナをうつしてしまわないかが、とても心配でした。

 

■コロナ陽性が分かるまでの流れ
(編)体調を崩されてから、コロナの陽性が分かるまで、どれくらいの期間がかかりましたか?
(A)結構時間がかかりました。体調が悪くなったのが火曜日で、翌日の水曜日にクリニックへ行ったのですが、クリニックに「コロナかもしれない」と連絡をしたところ、「他の患者さんが帰るまで受診できない」と言われました。午前中に連絡したにも関わらず、実際にクリニックへ行けたのは診療時間終了後の夜8時で、その後ようやく翌日の木曜日にPCR検査を受けることができました。同じタイミングで知人がコロナの疑いでPCR検査を受けましたが、その知人は午前中に病院で受診できたので、その日のうちにPCR検査を受けられたらしいです。一刻も早く自分の状況を知りたいのに、このような対応を受けてとても不安になりました。ちなみにPCR検査後、自分の自治体では、陽性の場合は2~3日後に連絡がきますが、陰性の場合は、10日後くらいに手紙で結果が届くようです。連絡が来るまで、とても不安な気持ちで結果を待っていました。
(編)そうだったのですね。PCR検査の結果の連絡が来るまで、とても心配でしたね。
(A)彼氏のこともあったので、とても不安でした。同じクリニックでも、場所によって対応が全然違うようです。事前に電話で問い合わせてから、すぐに対応してもらえるか確認した方が良いかもしれないです。私の場合は、陽性だったので、電話で連絡がありました。ただ軽症だったので自宅とホテル療養のどちらかを選べましたが、彼氏にコロナをうつさないために、1日でも早く別の空間で過ごしたかったので、そのことを伝えました。ただ、その時はホテルが満室だったので、陽性判明後2日間は自宅で過ごし、残りの4日間はホテルの療養施設で過ごしました。

 

■自宅待機中の過ごし方
(編)2日間、家で過ごしている時、どのような点に気を付けて過ごしていましたか?
(A)彼氏とは、寝室とリビングに別れて過ごしました。私は寝室にこもって過ごし、彼氏はリビングで、ソファーで寝てもらいました。
(編)そうだったんですね。
(A)トイレに行く時も、私が(ドアノブに)触れるとまずいと思い、ティッシュを1枚とって、それで扉を開けたりしていました。消毒とかも、結構気を使いました。タオルも使わないようにして、使い捨ての紙で手を拭いたり、ちょっとした些細なことだけれど、実はやっておいて良かったかもしれないと思いました。

 

■彼氏への影響(職場からの必要以上な詮索)
(編)彼氏はコロナ陰性だったとのことですが、それが分かるまで、どのような状況でしたか?
(A)結果的に良かったのですが、彼氏の方も会社の方もすごい大変そうでした。
(編)どのようなことがあったのですか?
(A)職場に、コロナ感染疑いの人と一緒に生活していることを言わない訳にいかないですよね。ただ、一緒に住んでいる人がいることを、会社には言っていませんでした。
(編)同居人がいることは、会社には伝えていなかったのですね。
(A)もちろんです。同性愛者であることも言っていないのです。それで、彼は会社に、「一時的に一緒に住んでいる人がいたのですが、その人がコロナに感染したかもしれない」と報告しました。そうすると、やはり会社からは、「いますぐ検査に行け」と指示があったのですが、病院の紹介状が必要なので、「PCR検査はすぐにできない」と説明をしても理解してもらえず、コロナのPCR検査を受ける流れが、一般的に全然知られていないと感じました。彼氏の会社の人たちもパニック状態で、「なんで今すぐPCR検査ができない?今すぐ保健所に電話しろ」と言われる始末で。ただ、保健所に電話しても、結局のところクリニックを紹介されるんですよね。検査を受ける流れとしては、保健所→クリニック→PCR検査となるので、結局、クリニックを挟まないといけなくて、時間がかかってしまい、今のところ多分、その流れから逃れられないと思います。
(編)確かに今お聞きした検査の流れは、十分に共有がされていないかもしれないですね。
(A)特に困ったのは、職場からの彼への必要以上な詮索でした。上司の人から、「PCR検査を受けろ」ということ以外に、この機会に色々と根掘り葉掘り聞かれてしまっていて、「その相手は、女?男?どこで働いているの?」というような形です。相手は面白半分で聞いているかもしれないですが、私たちにとっては大問題です。隠すことが悪で、全てをさらけ出すことが正義というような感じで、彼はとても怯えていました。
(編)彼の立場が弱いので、答えざるを得ない状況に追い込まれてしまいそうですね。
(A)それで、「私はゲイです」と答えたら、それでまたゲイのイメージが悪くなるかもしれない。本人が(ゲイであることを)言いたくないし、仕事上言う必要が全くないことまで聞かれてしまうんだ、と感じました。
(編)(ゲイであることを)言うか言わないかは、本人の選択であって、強制されるものではないですよね。

 

■ホテルでの過ごし方について
(編)ちなみにホテルに行ってからは、どのような形で過ごされていましたか?
(A)私の場合は、食事も出るし、個室だし、お風呂も自由に入れる、Wi-Fiもあるし、テレビもあるし、環境良く過ごすことができました。
(編)そうだったのですね。ちなみに部屋から出ることはできなかったのですか?
(A)ホテル療養中は、部屋から出ることはできませんでした。ただ私は、インドア派だからかもしれないですが、全然大丈夫でした。意外といたれりつくせりで、またホテルで療養する時にもらった、療養中のしおりという手引きが、とても良い内容でした。
(編)療養中のしおりには、どのような内容が書かれていましたか?
(A)テレビやネットで、コロナに関して、余計な情報を入れすぎないようにすることが書かれていました。また、心のケアもしっかりしていて、例えば、インスタグラムとか、Twitterとか、LINE電話などのツールを積極的に活用し、外部との接触をしましょう、あまりに1人でいると心がおかしくなってしまうから、と書かれていました。ユーモアも持って過ごしましょう、みたいな感じで、安心して療養することができました。
(編)確かに周囲と連絡を取るのは、とても大切ですよね。
(A)他にも色々なことが書いてあって、運動しましょう、とか、素敵なスクワットのやり方とか書いてありました。もし案内が何もなければ、療養施設に入れってもらったのだから、そこで大人しく静かにするようにと思うかもしれないですが、周囲の人とコミュニケーションを取り、楽しいことを積極的にやりましょう、という方向性を示してくれていました。そうそう、「楽しいことに目を向けてください」と書いてありました。書き方で本当に素敵だなって、感じました。
(編)確かにそうですね。
(A)なので、途中から友達にホテルのお弁当の写真を撮ってメッセージを送ったりするようにしました。そしたらそれに対してお返事がきて、外部と遮断されずつながっている感じがして、安心して過ごすことができました。
(編)そうですよね。楽しいというと、誤解をする方もいるかもしれないけど、前向きに過ごせるように、色々と過ごし方の工夫をするのは大切ですよね。

 

■ホテルを出るタイミング
(編)ホテルを出るタイミングは、どのような流れやシステムでしたか?
(A)ホテルでは凄くケアがしっかりしていて、毎朝電話がかかってきて、体調の確認を内線電話で話すことができました。おそらく毎日、違う看護師の方が精神的なケアも含めて応対してくれていて、ものすごい優しくて、安心できました。
(編)それはありがたいですね。
(A)なので、電話がかかってくることが苦痛ではなく、楽しめました。だから、心配なことも気軽に聞くことができました。私の場合は、1回、(ホテルに)入っている時に、匂いが分からなくなりました。いつからなのか分かりませんが、美味しそうと思った弁当を食べたら、突然、そこまで美味しく感じないことがあり、こんなものか?と思ったら、ふとコロナは匂いとか、味覚に症状が出ると書いてあったのを思い出して、また、ホテルに持参していたハッカの匂いが本当はもの凄い匂いがするのに、嗅いだら、なにも匂わなかったことがありました。その匂わなかったことも、次の電話のタイミングですぐに相談することができて、相談したところ、「毎日、検温と指で血中の酸素濃度を計っていて、数値上は全然問題ない」と言われたましたし、「今、体内でコロナのウイルスが大暴れしている訳ではなく、後から出てくる症状なので、すぐに治ります」、と言われました。
(編)そう言ってもらえると、安心ですよね。
(A)具体的に説明してくれたので、納得できました。ただ、ホテルを出る時に検査がなかったことは不安でした。
(編)そうなのですね。
(A)発症から10日間、及び平熱で健康な状態が72時間経過、この条件をクリアすると、ホテルから出ることができます。私の場合は、施設に来た時から熱は既に無かったので、ホテルに入った時からすごい元気で余裕でした。熱も36.5度だったので、検査は必要ありません、と言われました。でも、対人関係の仕事で不安だったので、、、心配で、最後にホテルを出る時に、「絶対に感染していることは無いですか?」と聞いたら、ドクターの方から、「もし検査でウイルスが出たとしても、もう人にうつすほどの強さはないです、体がそのようなことになっていたらうつりません」と言ってくれました。コロナの熱の基準は37.5度らしく、それ以上高い熱だと退院できないようです。
(編)そうだったのですね。

 

■コロナに感染して感じたこと
(編)貴重な体験談をお話しいただき、ありがとうございました。まとめとして、今回、コロナに感染して日常生活に戻るまでの経験をされて、どのようなことを感じましたか?
(A)コロナでは、2つの意味で、一番の脅威は人だと思いました。まず1つ目は、やっぱりコロナは、全員に重篤な症状が出る訳ではないので、無症状の人が、自覚なく感染を広げてしまうことだと思いました。そして2つ目は、私の彼氏が経験したように、職場などから、「あなたは、コロナに感染するようなことをしたのですか?」という、相当の圧力がかかることだと思いました。それで、最後には、全然関係無いプライベートなことまで、一緒に住んでいるのは男なの?ということまで実際に聞かれてしまいました。
(編)無症状で感染した方の行動と、また周囲の人の受け止め方ということですね。
(A)やっぱり一番怖いのは、人だと思いました。その解決策は、正しく恐れることや気を付けることが必要なことかもしれません。ただ、必要以上に大袈裟な騒ぎ方が一番、害だと感じました。感染した可能性があると言った途端に、吊るし上げられるようなことをされてしまったら、みんな怖くて、何も言えなくなってしまうと思います。HIVの時も1980年代に同じようなことがあったと聞きましたし、今も差別や偏見はあると思います。
(編)確かにそうですね。人の偏見や差別が、より問題を深刻化させることになってしまいますよね。
(A)それから、コロナでは、体も精神も重要だと感じました。重症化してしまう人は体も大変だと思います。それから、重症化しないから良い訳ではなく、重症化しない人も精神を結構やられると思います。私は平気な顔をして過ごすようにしているけれど、やはり、それでもたまに何か言われると、すごい傷つきますよね。もちろん何事もないように振る舞いますけど。
(編)このような貴重な体験を話してくださり本当にありがとうございました。
(A)あと、コロナ以前は、繁忙期はちょっと無理をして仕事をしていましたが、今は無理をし過ぎないように気を付けることにしました。やっぱり心身の休息は大切だと思いました。

 

■医療従事者の方へのメッセージ

(編)今回、実際にコロナに感染し、ホテルで療養されたAさんから、最後に医療従事者の方、及び医療崩壊を防ぐためのメッセージをお願いいたします。
(A)医療従事者の方には、療養の時に大変お世話になりました。ありがとうございました。物理的にも精神的にも快適に過ごせる空間を作ってくださり感謝しています。感謝の気持ちが99%です。ただ、私たち一般人には見えない色んな苦労があると思うのですが、病院~PCR検査の流れにタイムラグがあり、そのため私より彼氏を精神的に苦しめることになってしまいました。色々と限界はあるのかもしれないですが、少しでもスムーズにPCR検査を受けられるようにしていただいたり、PCR検査を受けるには時間がかかることをもっと周知していただければありがたいと感じました。皆さんの日々の努力に心から感謝を申し上げます。

(都市在住 パートナーと同居30代のゲイ)