エイズ/HIV感染症

エイズ/HIV感染症

STDの中で最も重要な病気。まずは予防を心がけて!

感染しても症状ではわからないので、気づかずにすごしてしまいやすい病気です。また、一度感染すると完全に治すことはできず一生付き合うことになるので、健康上最も影響の大きいSTDといえます。まずは予防が大事ですが、感染した場合も様々な治療法があるので、検査を受けて早めに気づくことが大切です。

 

エイズとHIVってどう違うの?

HIVとは、エイズの原因となるウイルスのことで、HIVに感染した状態を「HIV感染症」と言います。このうち、徐々に免疫力が低くなり、感染後5年から10年ほどでカンジダ症やニューモシスチス肺炎などの特定の症状がでてくる状態がエイズと呼ばれています。現在、HIVに感染してもエイズの発症を抑えるためにいろいろな治療法があるので、HIVの感染=エイズというわけではありません。まずは、HIVに感染することを予防して、もし、感染したら、エイズを発症させないように治療することが大切です。

 

初期症状ってどんなもの?

HIVに感染すると、感染後約2~6週間後に「急性期症状」がでてくることがあります。これは、発熱、リンパ節の腫れ等ですが、症状が全くなくても感染している場合もあるため、症状がないからといって感染していないとは言えません。逆に、この症状は風邪に似ているため、本当の風邪や体調不良との違いを症状だけで区別することはできません。ですから、結局は血液検査でHIVに感染しているかどうかを確認しないと症状から判断することはできないのです。

 

どんなことでうつるの?予防方法は?

HIVは、感染している場合に血液、精液、膣分泌液の中にたくさん含まれます。予防方法は、セックスする相手の血液、精液、膣分泌液を自分の体の中に入れないことです。コンドームなしのアナルセックスは入れる方も入れられる方もリスクがあります。フェラチオする場合は、口で精液を受けたり、飲み込んだりするとリスクがあります。予防方法は、アナルセックスではコンドームを使うこと、フェラチオでは、口内射精をさせない、飲み込まない、クンニリングスに注意することが大切です。

 

感染したらどうなるの?

感染してから5年から10年ほどで免疫力が低下して、比較的軽い日和見(ひよりみ)感染(普段は抵抗力によって抑えられている病原体なのに、免疫力が落ちることにより症状が出てくる)が起きるようになります。発症する病気はいろいろありますが、その中で特定の病気が発症した時点でエイズ(期)になります。今まではこのエイズ期に入ると数年以内に死に至ると言われていましたが、現在は治療薬・治療法が飛躍的に進歩したため、発症後でも免疫力を回復させることができるケースが増えています。

 

検査を受けるには?

HIVに感染すると、通常、4週間後くらいから血液中でHIVに対する抗体が検出されるようになります。しかしながら、感染後抗体が作られる期間には個人差があるため、一般的には、感染の可能性のあるセックスをしてから3ヶ月過ぎてからHIVの抗体検査を受けるようにします。

 

今の最新治療について知りたいのだけれど…

現在、完全にHIVをなくす方法はありませんが、体内でのHIVの増加を抑えるための「抗HIV薬」が国内でも多数認可されています。治療法は年々進化し、現在では、血中ウイルス量を検出限界以下に抑え続けることを目標に、 多剤併用療法(ART:略称)を行います。服薬は、飲み続けやすい様に1日1回1錠(3~4種類の薬が含まれているもの)を飲むケースが多くなっています。治療のためには服薬を継続する必要がありますが、きちんと生活の中に組み込んでいけば、慢性の病気としてコントロールしていくことが可能になっています。とにかく大事なのは早期発見、早期治療。早く治療を始めることで、今までどおりの日常生活を長くおくることができます。

 

最近よく聞くPrEPとは?

PrEP(プレップ)とは、曝露前予防内服のことで、セックスする前からHIVの薬を飲んで、HIV感染のリスクを減らすというHIVの予防方法です。
現在、国内では、自由診療(公的医療保険が適用されない診療)のため、費用負担は大きいと言えるでしょう。また、個人輸入されている方は、正規品であるかの確認と、副作用が出ていないかどうか医療機関を定期的に受診することが望ましいといえるでしょう。

(参考)SH外来PrEPの基礎知識   http://shclinic.ncgm.go.jp/prep.html